完全数について

今回は「完全数」についてご紹介します.

完全数とは,「その数を除く約数の和がその数自身と等しくなるような数」のことです.

例えば, 28 の約数は \(\{1,2,4,7,14,28\}\) なので, 28 を除いた約数の和は,

$$1+2+4+7+14=28$$

で確かに,「その数を除く約数の和がその数自身と等しくなるような数」となっています.

他にも完全数は小さい順から 6, 28, 496, 8128, 33550336, 8589869056, … と存在していて, 6 個目ですでに10桁の数字となっていていることからレアな数字であることがわかると思います.

完全数はその美しさはもとより,旧約聖書の「創世記」で神は 6 日で世界を創造したとされていることや,月の公転周期が 28 日であることから,神秘的な存在とされ,信仰の対象となることもありました.

実は,完全数はピタゴラス(紀元前582 – 496年)の頃から知られており,長きにわたり研究が進められてきましたが,いまだにその実態は十分に知られていません.

ユークリッド(紀元前 3 世紀頃)が

\(2^n-1\) が素数ならば, \(2^{n-1}(2^n-1)\) は完全数である


ことを示し,レオンハルト・オイラー(1707 – 1783年)が偶数の完全数はこの形のみであることを示しました.

しかし,この素数が無限に存在するかは分かっていません.つまり,

(偶数の)完全数が無限に存在するか


は,未解決問題となっているのです.

\(2^n-1\) という形をした素数は「メルセンヌ素数」と呼ばれ,現在でもこの数を探す計算がコンピュータを用いて行われています.

また,現在分かっている完全数は全て偶数であり,

奇数の完全数は存在するか


も,未解決問題となっています.

 

完全数はレアな数であるため,ほとんどの数は「その数を除く約数の和がその数自身より『小さくなる』か『大きくなる』」かに分けられます.前者を「不足数」と呼び,後者を「過剰数」と呼びます.

過剰数の中でも「その数を除く約数の和がその数自身より 1 だけ大きくなる」ような数を「準完全数」と呼びますが,このような数は現在まで見つかっておらず,

準完全数は存在するか


は,未解決問題となっています.

しかし,「その数を除く約数の和がその数自身より 1 だけ小さくなる数」である「擬完全数」は特に珍しくありません.( 8 など)

 

以下かでしょうか?

なかなか興味深い世界ではないでしょうか?

このように一見すると簡単な問題が実は数百年,長いものだと二千年以上未解決のままであることに驚きです.

 

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